ライフプランガイド
~はじめての資産づくり~

人生100年時代を豊かに過ごすためには、時代の流れとそれに伴う環境の変化へ柔軟に対応していくことが必要です。ライフプランニングで人生の方向性を「お金と時間」という尺度で見える化することで、時代の変化に対応しながら、金融の仕組みを適切に使うことができるようになります。

1章:未来への地図ライフプラン

人生には様々なライフイベントがあり、お金が多くいる時期、お金が多く出ていく時期があります。ライフプランを作ることでお金の見通しがたち、今も将来も安心してお金を使えることにつながります。

ライフプランを4世代に分けたイメージを説明しています。10代・20代は資産形成を始める世代です。学生生活や就職、マイカー購入、結婚、子供の誕生などのイベントが主要な要素となります。万が一のことを考えて医療・損害補償なども検討が必要です。主な収入は給与であり、主な支出は基本的な生活費です。30代・40代は資産を育てる世代です。マイホームの購入や子供の教育などのイベントが主要な要素となります。教育資金や老後資金の準備に関しても考えるタイミングです。また、万が一のことを考えて、医療・損害補償、収入保障、死亡保障なども検討が必要です。主な収入は給与であり、主な支出は基本的な生活費や住宅ローンの返済、教育費です。50代・60代は資産を準備する世代です。60代は退職があり、収入が大きく下がる可能性があるため、準備が必要です。また、万が一のことを考えて医療・損害補償なども検討が必要です。主な収入は給与から年金に変わってきます。主な支出は基本的な生活費です。70代・80代・90代は資産を引き継ぐ世代です。セカンドライフや相続などのイベントが主要な要素となっていきます。主な収入は年金であり、主な支出は70代では親の介護費用、80代・90代では自身の介護費用となります。

1-1 ライフプランとは

地図で目的地を決めると、そこにいたるまでのルートが分かり、さまざまなルートを予算・時間・運転の技量等に応じて選択します。
人生という長い道のりも目的地(人生の方向性)を決めておくことで、そこにいたるまでの様々なルートを検討することができます。ライフプランは人生の方向性を「時間とお金」という尺度で見える化した、いわば未来への地図なのです。

ライフプランとは
目的地(人生の方向性)に向けたより良いルートを考えること

コラム 資産形成はお金だけ?

「資産」をゆたかな人生をおくるための手段と考えると、「資産」はお金だけではありません。例えば自宅から5㎞離れた駅に行くとき、自分で歩いて行く(体力)、自転車に乗って行く(スキル・経験)、友人に車で連れて行ってもらう(人脈)、タクシーで行く(金融資産)といった様々な手段があります。
長い人生においても健康(体力)、スキル・経験、交友関係(人脈)、金融資産の総合的な資産形成をしていくことが大切です。

1-2 ライフプランをつくるメリット

生涯の収支を見える化できる

人生のお金の見通しをたてることは、将来への不安を解消するための第一歩です。

生涯の収入および支出のバランスを表したイメージです。収入にはお給料、退職金、年金などが挙げられます。 一方、支出には生活費、教育費、住宅費、車費などが挙げられます。収入は限られているため、一時的な考えではなく、一生涯にわたってどれくらいの支出が必要になるのかを考えながらプランを設計しましょう。

価値観に沿ったことに予算配分ができるようになる

ライフプランを作成する過程で、どのようなことに収入を振り分けていくかという予算配分を行っていきます。ご自身にとって大切なことにお金が使えているのか客観的にみることができるため、ご自身の価値観に沿った予算の配分ができるようになります。

Aさんは住宅や設備に費用をかけた方が生活への満足度が高まるかもしれません。

Bさんは住まいの購入費を抑えたり、賃貸で過ごし実家への住み替えをする等、住まいの費用を抑えて、旅行の費用を増やす方が生活への満足度が高まるかもしれませんね。

適切な金融の仕組みを活用できるようになる

目的(ライフイベント)までの時間を測り
適切な金融の仕組みを活用していきましょう

例えば、お肉をもらったとき、すぐ食べる場合は「まな板」へ、3日後なら「冷蔵庫」へ、1週間後なら「冷凍庫」へ入れると思います。それはお金でも同じです。ライフプランでお金を使うタイミングはいつなのかを明確にしていくことで、それまでの時間を測り、目的に沿った金融の仕組みを活用していくことができます。

使い分けのイメージ図です。短期的な目的の場合は、流動性を意識した現金や預金などで準備します。中期的な目的の場合は、確実性を意識した貯蓄性保険や債券(投資信託)などで準備します。長期的な目的の場合は、利殖性を意識した株式や投資信託などで準備します。

1-3 作ってからが大事なライフプラン

ライフプランは作ることがゴールではありません。作成後に実際の行動を振り返り、改善していくことが大切です。定期的に振り返る時間を持ちましょう。

PDCAサイクルで軌道修正をしながら実行していきましょう

PDCAサイクルの説明です。①計画 ライフプランを作成します。②実行 ライフプランを実現できるように、家計改善や金融商品の活用を行います。③チェック(または振り返り) 実際のお金の使い方を振り返ります。④改善(または調整) 家計改善方法や金融商品の変更を行います。

結婚や出産でご家族が増えたときや、働き方が変わったときなど、大きな変化があるときには、ライフプランを見直すことも必要となってきます。定期的に振り返りをしていきましょう。

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2章:なぜ今資産作りが必要なの?時代の変化と求められる備え

2-1 人生100年時代の到来

100歳以上の人口推移

100歳以上の人口は2023年時点で約9万人で、2050年には50万人を超えると予測されています。
100歳まで生きることは珍しいことではなくなりつつあります。

100歳以上の人口推移(予測も含む)を表したグラフです。以下は各年の人口数です。1985年: 1,740人 2000年: 13,036人 2022年: 90,526人 2030年: 約19万人 2050年: 約53万人 2050年までの推計によれば、100歳以上の人口は50万人を突破すると予測されています。
  • 出所:厚生労働省「令和6年百歳の高齢者へのお祝い状及び記念品の贈呈について」

平均寿命と平均余命

日本の平均寿命は、

男性は81.09
女性は87.14

平均寿命(0歳時における平均余命)と平均余命(ある年齢の人が、平均してあと何年生きられるか)

「人生100年時代」の到来により、退職後のセカンドライフは20年以上になります。

  • 出所:厚生労働省「令和5年簡易生命表の概況(主な年齢の平均余命)」
  • 出所:厚生労働省「令和5年簡易生命表の概況(寿命中位数等生命表上の生存状況)」
    以下の数値を基に作成しています。
    90歳まで生きる男性26.0% 女性50.1%
    95歳まで生きる男性9.2% 女性25.5%

平均寿命と健康寿命

平均寿命(0歳時における平均余命)と健康寿命(健康上の問題がない状態で日常生活を送れる期間)の差は、一般的に医療や介護などを要する期間とされており、10年程度になります。

男性と女性の平均寿命と健康寿命を表示したグラフです。男性の場合、平均寿命は81.41歳であり、健康寿命は72.68歳です。したがって、8.73年の差があります。また、100歳まで生きた場合の差は27.32歳です。女性の場合、平均寿命は87.45歳であり、健康寿命は75.38歳です。したがって、12.07年の差があります。また、100歳まで生きた場合の差は24.62歳です。
  • 平均寿命、健康寿命ともに令和元年の数値を使用しています。
  • 出所資料の数値処理により、各数値の合計と内訳は一致しない場合があります。
  • 出所:厚生労働省「第16回健康日本21(第二次)推進専門委員会資料」

長期化する老後の生活

人生には住宅購入、教育、退職などさまざまなライフイベントがあり、家計の収支もそれらに伴って変化します。特に、退職前後は収入と支出のバランスが大きく変化し、それまでに蓄えた資産を取り崩して生活していくことになるかもしれません。長生きすることを想定して、早めの準備が必要です。

20歳から100歳までの収入と支出の推移のイメージです。収入は20代から60代まで緩やかに上昇し、退職後は低い水準で推移します。支出は大きなイベントを例として載せています。30歳前後で住宅購入があり、その後50歳前後まで教育資金がかかります。また、90歳前後でパートナーの相続が発生し、収入・支出ともに下がります。

人生100年時代、老後生活は長期化しています。配偶者が亡くなった後の生活もイメージしておくことが大切です。あらかじめ配偶者が亡くなった後の年金額を把握し、資産を準備しておく等の早めの対策を行っていきましょう。

セカンドライフに必要な平均的な費用

セカンドライフにおける収入と支出について確認しておきましょう。家計調査によると、支出が収入を上回り不足額が発生する状態になっています。不足額が発生することを想定して、事前に対策を練っておくことが大切です。

夫婦のみの無職世帯の場合

65歳以上の夫婦のみの無職世帯における家計収支の内訳を表したグラフです。収入面では、実収入が246,237円で、内訳は社会保障給付が89.5%、その他が10.5%となっています。支出面では、消費支出が236,696円、非消費支出が31,812円となっています。消費支出の内訳は、食費が28.6%、住居が6.6%、光熱・水道が9.6%、家具・家事用品が4.4%、被服及び履物が2.1%、保険医療が6.6%、交通・通信が12.2%、教育が0.0%、教養娯楽が9.0%、その他の消費が20.9%(うち交際費が9.6%)です。このような収支状況では、生活していく上で不足する金額は22,270円になります。
  • 図中の「社会保障給付」及び「その他」の割合(%)は、実収入に占める割合である。
  • 図中の「食料」から「その他の消費支出」までの割合(%)は、消費支出に占める割合である。
  • 図中の「消費支出」のうち、他の世帯への贈答品やサービスの支出は、「その他の消費支出」の「うち交際費」に含まれている。
  • 図中の「不足分」とは、「実収入」と、「消費支出」及び「非消費支出」の計との差額である。
  • 図中の「非消費支出」とは、税金や社会保険料など世帯の自由にならない支出および借金利子などからなる。
  • 出所:総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要」
  • 出所資料の数値処理により、各数値の合計と内訳は一致しない場合があります。

セカンドライフを約35年とした場合

(定年後65歳から約100歳まで生きると仮定した場合)

約3.7万円×12ヵ月×35年=1,554万円が不足額になります

独身無職世帯の場合

65歳以上の単身のみの無職世帯における家計収支の内訳を表したグラフです。収入面では、実収入が134,915円で、内訳は社会保障給付が90.1%、その他が9.9%となっています。支出面では、消費支出が143,139円、非消費支出が12,356円となっています。消費支出の内訳は、食費が26.2%、住居が8.9%、光熱・水道が10.3%、家具・家事用品が4.2%、被服及び履物が2.2%、保険医療が5.7%、交通・通信が10.2%、教育が0.0%、教養娯楽が10.1%、その他の消費が22.3%(うち交際費が12.5%)です。このような収支状況では、生活していく上で不足する金額は20,580円になります。
  • 図中の「社会保障給付」及び「その他」の割合(%)は、実収入に占める割合である。
  • 図中の「食料」から「その他の消費支出」までの割合(%)は、消費支出に占める割合である。
  • 図中の「消費支出」のうち、他の世帯への贈答品やサービスの支出は、「その他の消費支出」の「うち交際費」に含まれている。
  • 図中の「不足分」とは、「実収入」と、「消費支出」及び「非消費支出」の計との差額である。
  • 図中の「非消費支出」とは、税金や社会保険料など世帯の自由にならない支出および借金利子などからなる。
  • 出所:総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要」

セカンドライフを約35年とした場合

(定年後65歳から約100歳まで生きると仮定した場合)

約3.1万円×12ヵ月×35年=1,302万円が不足額になります

セカンドライフに関係する費用についてくわしく知りたい方はこちら

元気なうちに考えておく“もしも”と“これから”

元気なうちに、介護や相続等について考え、ご家族に思いを伝えておきましょう。

一人で考えるのが難しいと感じたら…

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2-2 少子高齢化する日本

現在0~19歳の人口は減少しています。また、2025年以降も高齢化と少子化が進展し、人口全体の減少に加え、少子高齢化社会が強まっていく見込みです。

1965年から2065年までの総人口の推移を表したグラフです。世代別に人口を分けています。2023年の総人口は12,500万人で、2065年には8,800万人まで減少する見込みです。グラフから明らかなように、20歳未満の人口比率は全体的に減少しています。一方、20~64歳の人口比率は2000年まで増加していましたが、2023年以降は減少に転じます。年齢が65~74歳の人口比率は増加し続け、75歳以上の人口比率も急速に増加しています。全体的に、若年層の人口は減少し、高齢化が進んでいることがわかります。将来に向けて、高齢化は一層進行し、労働力人口の減少が予想されます。これは社会保障や経済の構造に大きな影響を与える可能性があります。
  • 出所:財務省「日本の財政関係資料(令和6年10月)」
  • 出所資料の数値処理により、各数値の合計と内訳は一致しない場合があります。

国民負担率の推移

以下のグラフのように、国民負担率は増加傾向にあります。今後予想される人口の減少により、さらに負担率は上昇していく可能性もあります。

  • 「国民負担率」とは、租税負担及び社会保障負担を合わせた義務的な公的負担の国民所得に対する比率です。
1970年から2015年までの「租税負担率」「社会保障負担率」「国民負担率」「潜在的な国民負担率」の推移を表したグラフです。■租税負担率 最も低い値は1975年の18.3%であり、最も高い値は1989年の27.7%です。 1970年から1980年代初めにかけて、租税負担率は緩やかに上昇しました。その後、1990年代にはやや減少し、2000年代以降は一定の水準で推移し、2015年時点では25.5%となっています。■社会保障負担率 最も低い値は1970年の5.4%であり、最も高い値は2015年の17.3%です。 全体を通して緩やかに上昇し、2015年時点で最高値となっています。■国民負担率 最も低い値は1970年の24.3%であり、最も高い値は2015年の42.8%です。 1970年から1980年代初めにかけて、国民負担率は緩やかに上昇しました。その後、1990年代にはやや減少し、その後一定の水準で推移しましたが、2010年以降再び上昇を始め、2015年時点で最高値となっています。■潜在的な国民負担率 最も低い値は1970年の24.9%であり、最も高い値は2009年の51.7%です。 1970年から1980年代初めにかけて上昇していました。その後一定の水準で推移していましたが、1990年代から再び上昇し、2000年代から減少を見せ、再び2008年に急速に増加し、2009年に最高値となりました。その後は緩やかに減少し、2015年時点では48.9%となっています。
  • 出所:財務省「令和6年度の国民負担率を公表します」

超高齢社会と年金

少子高齢化の影響で、年金世代の人口が増加し、現役世代の人口が減少しています。
年金制度を支える現役世代が減少することで、将来の公的年金に不安が生じる可能性があります。

●少子高齢化による現役世代の負担増

少子高齢化による現役世代の負担について1965年は胴上げ型であり、20〜64歳が9.1人で65歳以上1人を負担する形でした。2022年は騎馬戦型であり、20〜64歳が1.9人で65歳以上1人を負担する形になります。2065年は肩車型であり、20〜64歳が1.2人で65歳以上1人を負担する形になる予測です。
  • 出所:財務省「日本の財政関係資料(令和6年10月)」
厚生年金保険受給者平均年金月額の推移グラフです。2009年:156,692円 2010年:153,344円 2011年:152,396円 2012年:151,374円 2013年:148,409円 2014年:147,513円 2015年:147,872円 2016年:147,927円 2017年:147,051円 2018年:145,865円 2019年:146,162円 2020年:146,145円 2021年:145,665円年金は減少傾向にあります。
  • 出所:厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和4年度)」
  • 第1号とは、厚生年金保険の被保険者のうち、民間の事業所に使用される方を指します。

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2-3 物価上昇(インフレ)の影響

  • 消費者物価指数の推移

    1975年

    2023年

    53.1

    105.6

    • 消費者物価指数は、全国の世帯が購入する家計に係る財及びサービスの価格等を総合した物価の変動を時系列的に測定するものです。すなわち家計の消費構造を一定のものに固定し、これに要する費用が物価の変動によって、どう変化するかを指数値で示したもので、毎月作成しています。
    • 出所:総務省統計局「消費者物価指数(CPI)結果」
  • 入学初年度の授業料等の推移
    国立

    1975年

    2023年

    86,000円

    817,800円

    私立

    1975年

    2023年

    278,261円

    1,200,011円

    • 出所:文部科学省「私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」
    • 授業料と入学料の合計
  • 不動産価格指数(住宅)
    ※2010年平均=100

    2010年

    2024年

    100

    137.8

    • 不動産価格指数(住宅)は、全国の住宅(住宅地、戸建住宅及びマンション(区分所有))に関して、国土交通省が実施する「不動産の取引価格情報提供制度」により蓄積されたデータを活用し、個別物件の品質をヘドニック法によって調整して推計した指数である。
    • 不動産価格指数(住宅)の基準時点は、2010年1月から2010年12月までの2010年の算術平均を100としている。
    • 出所:国土交通省「不動産価格指数」

インフレ(インフレーション)とは、モノの価格(物価)が継続的に上がることです。インフレが起こると、お金の実質的な価値は低下します。日本は長らく低金利が続いているため、預金だけでは資産の価値が目減りし、買いたいものが買えなくなってしまうかもしれません。

インフレによる変化のイメージ図です。現在、100万円のモノを100万円で購入することができます。しかし、インフレ率が年間3%で預金金利が年間0.01%の状況が5年間進行した場合、モノは約115.9万円に上昇し、一方でお金は約100.1万円になります。同じ額ではモノを購入することができなくなる可能性もあります。
1000万円の場合の物価変動による10年後の実質的な資産価値の変化を示したグラフです。デフレ率1%/年の場合、実質的な資産価値は1105万円になります。インフレ率1%/年の場合、実質的な資産価値は904万円になります。インフレ率2%/年の場合、実質的な資産価値は817万円になります。インフレ率3%/年の場合、実質的な資産価値は737万円になります。

2-4 低金利

長引く低金利

以前は定期預金だけでもお金を増やすことができましたが、現在は低金利状態が続いているため、貯蓄だけで増やすことが困難となりました。

  • 出所:日本銀行が提供するデータより当金庫作成。
  • 預入金額1千万円以上/1年
  • 1年間年利が変わらないと仮定し計算したもの。
    利息の計算には税金等を考慮していません。
72の法則について説明している図です。72の法則とは、資産を2倍にするために必要なおおよその年数=72÷運用利回り(%)で計算する方法です。例えば、年利が1.0%で運用される場合、72の法則を適用すると資産を2倍にするのには72年かかる計算になります。現在の年利は0.01%前後ですので、計算すると資産を2倍にするのには7200年もかかる計算になります
  • 税金等は考慮していません。
  • 72の法則を用いて計算したおよその年数であり、実際とは誤差があります。

社会の状況によって、年金の支給額が変化したり、お金の価値も変化します。現預金だけでは
なく、変化に対応できるよう、資産に投資性の商品を加えていくことも選択肢の一つです。

3章:社会制度と保険で賢く備える

3-1 自助は最後

自分で備えること(自助)も大切ですが、まずは、社会制度をうまく活用することを考えましょう。あらかじめ、どういったときに、どのような保障を受けられるのかを知っておくことで、必要以上の保険に加入することを防ぐことができます。

社会制度のほかに、自分で準備ができる方法を紹介する図です。まずは公的な保障として健康保険、年金、介護保険などが挙げられます。次に、確定拠出年金や福利厚生、組合・互助会などの企業の保障が挙げられます。最後に、貯蓄や保険など、自分で準備する方法による備えが挙げられます。

3-2 年金制度

年金には国民年金と厚生年金があります。自営業者(第1号被保険者)は国民年金に加入します。会社員や公務員(第2号被保険者)は厚生年金に加入しますが、厚生年金の保険料には国民年金の保険料も含まれているため、厚生年金加入者は国民年金と厚生年金の保障を受けることができます。会社員・公務員の配偶者である専業主婦(夫)(第3号被保険者)は保険料の負担はありませんが、国民年金の保障を受けることができます。

社会制度のほかに、自分で準備ができる方法を紹介する図です。まずは公的な保障として健康保険、年金、介護保険などが挙げられます。次に、確定拠出年金や福利厚生、組合・互助会などの企業の保障が挙げられます。最後に、貯蓄や保険など、自分で準備する方法による備えが挙げられます。

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個人型確定拠出年金(ideco)等で老後に備えた資産作りをすることができます。

老後のためだけではない年金の役割

年金は老後の生活保障(老齢年金)のためだけではありません。ご自身が障害を負ったときの生活保障(障害年金)、ご自身が亡くなった後の遺族の生活保障(遺族年金)という役割があります。

老齢年金 障害年金 遺族年金
国民年金(基礎年金)
(すべての加入している人が
受け取れる部分)

受給できる人
原則65歳に達したとき、国民年金に加入して保険料を納めており、受給資格期間を満たした人。

年金額の計算
保険料納付済期間などに応じて年金額が計算されます。

受給できる人
国民年金に加入している間に初診日のある病気やケガによって、法令により定められた障害等級表による障害状態になった人。

受給できる人
国民年金の被保険者または被保険者だった人が亡くなったときに、その人によって生計を維持されていた一定の遺族。

厚生年金
(会社員や公務員などが
受け取れる部分)

受給できる人
一定の年齢に達したとき、厚生年金に加入している会社員や公務員など。
老齢基礎年金に上乗せして受け取れる。

年金額の計算
保険料納付済期間や報酬に応じて年金額が計算されます。

受給できる人
厚生年金に加入している間に初診日のある病気やケガによって、障害等級表による障害状態になった人。
障害基礎年金に上乗せして受け取れる。

受給できる人
厚生年金の被保険者または被保険者だった人が亡くなったときに、その人によって生計を維持されていた一定の遺族。

  • 厚生年金に加入している方は、国民年金(基礎年金)の保障も受けることができます。

3-3 病気やけがに関する社会制度

高額療養費

高額療養費とは、同一月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が、あとで払い戻しが受けられる制度です。

高額療養費を利用した際の例

・35歳、年収約420万の方(3割負担)

・ひと月の医療費総額が100万円かかり、窓口で30万円を支払った場合の例

  • 69歳以下の方の自己負担上限額(平成30年8月診療分から)、年収約370万円~約770万円を基準として作成。
医療総額費が100万円で、そのうち3割の30万円を窓口で支払った場合、年収約370万円から約770万円の方の自己負担上限額は制度上、「80,100円 + (医療費 - 267,000円) × 1%」の計算になります。したがって、自己負担上限額は87,430円となり、窓口で支払った30万円のうち、上限額を上回った「30万円 - 87,430 = 212,570円」は支給されます。

この方の自己負担上限額は87,430円となり
窓口で上限を上回って支払った212,570円が支給されます

高額療養費についてくわしくは「全国健康保険協会ホームページ」をご覧ください

傷病手当金

傷病手当金は、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、被保険者が病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。

支給される条件

傷病手当金は、次の(1)から(4)の条件をすべて満たしたときに支給されます。

  • 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
  • 仕事に就くことができないこと
  • 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
  • 休業した期間について給与の支払いがないこと

期間について

期間についての説明です。支給開始日が令和2年7月2日以降の場合、支給開始日から通算して1年6ヵ月まで支給されます。

支給される傷病手当金の額

傷病手当金の支給額の計算式は以下の通りです。傷病手当金の支給額=1日あたりの金額 (支給開始日(※)以前の継続した12カ月間の各月の標準月額を平均した金額)÷ 30日 × 2/3※支給開始日とは、初めて給付が支給される日のことです。

傷病手当金についてくわしくは「全国健康保険協会ホームページ」をご覧ください

自営業者の方等が加入している国民健康保険には傷病手当金の制度がありません。民間の保険に加入する等、病気やケガで働けない時への対策をしておく必要があります。

3-4 貯蓄と保険

貯蓄と保険にはそれぞれ得意なことと苦手なことがあります。貯蓄と保険の特徴について確認し、どちらで備えるか考えていきましょう。

Point1

お金で準備できること、
保険で準備できることがあります。
お金保険
得意なこと・苦手なこと

お金と保険の得意なこと・苦手なことを時間と使いみちの視点から区分けした表です。お金は、たまるまでに時間がかかりますが、使いみちは限定されていません。保険は、モノ、ヒト、コト、が限定されていますが、必要なときにすぐに準備ができます。

Point2

貯蓄は▲さんかく、保険は■しかく 万一の時のお金には、最初から一定額が受取れる
保険を活用して備えることが大切です。

お金と保険の得意なこと・苦手なことを時間と使いみちの視点から区分けした表です。お金は、たまるまでに時間がかかりますが、使いみちに制限はありません。保険は、モノ・ヒト・コトに限定されていますが、必要な時にすぐに準備ができます。

3-5 ライフステージに合わせた保険の見直し

ライフステージの移り変わりに応じて変化する保障額を表にまとめました。結婚:結婚を機に家族のための死亡保障が必要になります。出産:お子さまの誕生により必要な保障額が増加します。住宅購入:住宅ローンには団体信用生命保険が組み込まれているため、必要な保障額は減少します。お子さまの独立:お子さまの成長とともに必要な保障額は減少します。

ライフステージが変わっていくと必要な保障額も変化していきます。
ご自身のライフプランに合わせて、保険を考えていきましょう。

保険についてくわしく知りたい方はこちら

4章:金融の力を上手にかりる

4-1 頼りになる金融の仕組み

「貯める力」と「増やす力」の速度を、「歩く」「自転車」「自動車」で表現しています。歩く=預貯金 元本保証があり安全性が高いですが、増やす力は期待できません。 貯める力は歩くスピードによります。 預貯金は生活費などの管理向けで、基本的な出し入れも自由です。自転車=債券・保険 途中で解約すると元本割れの可能性がありますが、一定期間経過後に元本と利息が戻ります。 債券は一定期間経過後に元本と利息が戻ってきます。保険はもしものときや老後に備えることができる商品です。自動車=株式・投資信託 元本保証はありませんが、預貯金よりも高い利回りが期待でき、増やす力は強いです。 投資信託は投資家から集めたお金を資産運用の専門家がまとめて投資運用し、その成果を得る商品です。 株式は個別の会社に投資し、その会社の成長によって運用成果を得る商品です。
  • 上記の図はイメージです。必ずしもすべての商品に当てはまるものではありません。
    特に投資信託は組み入れる商品の内容によって、債券や株式と同水準のリスク・リターンになるものも存在します。

目的地にあわせて移動手段を選ぶことが大切

金融の仕組みを活用してみたい方はこちら

コラム ローンも大事な資産形成方法の1つ

資産形成の方法として預貯金・保険・投資を思い浮かべられる方も多いと思いますが、ローンも大事な資産形成方法の1つです。住宅ローンを例に考えてみると、もしローンという方法が無かった場合、住宅を購入するためには購入金額を貯めなければいけません。マイホームを購入できるのは多くの人が老後になってしまうのではないでしょうか。住宅ローンの仕組みがあることで、必要なタイミングで住宅を購入することができるのです。

購入金額を貯めて買う場合、
多くの人が老後になってしまうのではないでしょうか…

ローンを活用すれば、必要なタイミングで
住宅を購入することができます!

4-2 時間を測って金融の仕組みを使いこなす

例えば、お肉をもらったとき、すぐ食べる場合は「まな板」へ、3日後なら「冷蔵庫」へ、1週間後なら「冷凍庫」へ入れると思います。それはお金でも同じです。お金を使う目的、時期を明確にすることで、それまでの時間を測り、目的に沿った金融の仕組みを活用していくことができます。

使い分けのイメージ図です。短期的な目的の場合は、流動性を意識した現金や預金などで準備します。中期的な目的の場合は、確実性を意識した貯蓄性保険や債券(投資信託)などで準備します。長期的な目的の場合は、利殖性を意識した株式や投資信託などで準備します。

5章:資産運用のポイント

5-1 投資ってギャンブル?

投資と投機やギャンブルは、成長(価値の向上)があるかどうかという点で異なっています。下の「投機やギャンブル」の図では、トランプの出た目が大きい方が相手の飴玉をもらうゲームをしています。飴玉はゲームに負けた人から勝った人に移るだけで、全体として増えたり大きくなったりはせず、勝つ人と負ける人が必ず出てきます。

対して、投資は投資をした先が成長すれば、投資をしたときよりも価値があがります。投資に参加している人の勝ち負けではなはないため、みなが利益を得る可能性があるのです。

5-2 リスク・リターン

資産運用におけるリスクとリターンの関係性を見てみましょう。
リスクは損をするという意味ではなく、変動幅の大きさを示し、リターンは収益性の高さを指しています。目的に応じて、リスク許容度を考慮しながら運用商品を選びましょう。

リスク・リターンの関係性について

  • 上記の図はイメージであり投資対象のリスクのリスク・リターンを保証するものではありません。

リスク・リターンの関係を理解して投資対象を選びましょう

リスクが小さい商品はリターンも小さく、リスクが大きい商品はリターンも大きくなる傾向があります。リスクの小さい商品から並べると「預貯金」「国内債券」「外国債券」「バランス」「国内REIT」「国内株式」「外国REIT」「外国株式」の順になります。また、これらリスク・リターンの異なる複数の商品に投資をすることを分散投資といいます。
  • 上記の図はイメージであり投資対象のリスクのリスク・リターンを保証するものではありません。
投資対象別の値動きのイメージ図です。例えば、資産1と資産2が対象の価格変動をする資産であり、2つの資産を組み合わせて運用することによって、例えば資産2の価格が下がっている時には、反対の動きをする資産1がカバーし、逆に資産1が不調の場合には資産2がそれをカバーするなど、リスクを分散できるため一つの資産に投資するよりも安定した運用ができる可能性があります。

異なる種類の投資対象を組み合わせることで全体としての値動きをゆるやかにできる可能性があります

あなたのお弁当の中身は何ですか?
預貯金をご飯、債券を野菜、株式を肉としたとき、あなたの資産はどのようなお弁当になるでしょうか。

資産を形成していく時間がある若い時には、リスクをとって株式の配分が多いスタミナ(肉)弁当、資産を活用していく老後には株式に比べて値動きの少ない債券の多い野菜メインの弁当にする等、運用できる期間に合わせてお弁当の中身を組み替えていくことも必要になってきます。

5-3 リスクをコントロールする3つのキーワード

リスクをコントロールする
3つのキーワード
「積立」「分散」「長期」

「積立」「分散」「長期」で投資をしていくと
結果的に元本割れする可能性が低くなる傾向があります。

以下の図は、1989年以降、毎月同じ金額ずつ国内外の株式と債券に積立投資を行い、5年間と20年間それぞれ保有した場合についての年間収益率を計算したものです。5年という比較的短い期間だと、投資を始めたタイミングによっては大きな収益が得られることもあれば、元本割れになることもあります。ところが20年という長い期間では、どの時点から始めても、収益は安定し、少なくとも、1989年以降のデータでは元本割れとなったケースはありませんでした。

資産・地域を分散して積立投資を行った場合の 運用成果の実績【 保有期間別(5年,20年)】

5年保有した場合と20年保有した場合の運用成果(年率)を表したグラフです。保有期間5年の場合は元本割れが発生しましたが、保有期間20年の場合は元本割れの発生率がほぼゼロとなりました。
  • 積立投資期間は各年1月~12月の一年間です。
  • 年間収益率:資産運用で得られた一年当たりの利益率
  • 日本株式:TOPIX配当込み株価指数
    日本債券:BPI総合インデックス
    海外株式:MSCIコクサイインデックス(円換算ベース)
    海外債券:FTSE世界国債インデックス(除く日本、円ベース)
  • 出所:金融庁「はじめてみよう!NISA早わかりガイドブック」をもとに当金庫作成
  • 上記はあくまでも過去の実績をもとにしたシミュレーションであり、将来の投資成果を予想・保証するものではありません。
  • 日本株式、海外株式といった具体的な指数等への言及は例示のために行っているものであり、具体的な指数やそのような指数を用いた商品等への投資を推奨するものではありません。

積立・分散・長期の3つを合わせることが資産を育てていくことにつながります。

キーワードその1 積立投資のチカラ!

毎月決まった金額でコツコツと買い付けていくことが積立投資です!

たとえば、こんな値動きの投資信託があったとします。

投資信託を「りんご」に置き換えて考えてみました。
30,000円のおこづかいでりんごを買った場合で解説します。

例えば、リンゴが1個1万円の時に3万円分購入し、5千円の時に売却した場合、「5,000円×3個=15,000円」となり、15,000円の損失が発生します。
しかし、1万円ずつ3回に分けて購入する場合、リンゴが1個1万円の時に1個、リンゴが1個2,000円の時に5個、リンゴが1個5,000円の時に2個を購入することができ、合計8個のリンゴを購入することができます。そして、5千円の時に売却した場合は「5,000円×8個=40,000円」となり、10,000円の利益が得られる形となりました。

運用商品は波のような値動きをします。購入のタイミングが1回の場合、売却時の価額が上がっていると利益が出ます。購入の機会が多いと波を捕まえられるチャンスが増えるので積立投資の効果が期待できます。

キーワードその2 分散投資の効果!

分散投資には「卵は一つのカゴに盛るな」という投資の格言があります。卵を一つのカゴに入れておいた場合、そのカゴを落としてしまったら卵はほとんど割れてしまいますが、複数のカゴに卵を入れておくことで、そのうち一つを落としてしまっても、他のカゴの卵は無事に残ります。分散してリスクを抑えることが大切です。

  • 上記の図はイメージです。

目的に合わせてどのカゴに卵をいくつ入れるのかよく考えましょう!

キーワードその3 長期投資でじっくり運用!

複利と利回りを意識した運用を!

たとえば… 下記のグラフは毎月3万円ずつを異なる年率で積立てた場合の違いを表しています。

すこしでも利回りを高くすることができればお金は貯まりやすいもの。「非課税制度」と併用すれば違いがより鮮明に!

税制優遇を受けながら「長期・分散・積立」効果も期待できる制度をご紹介

掛金全額が所得控除の対象に

運用利益にかかる税金を非課税に

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