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『卓上カレンダー原画展』のご案内

• 日時2023年1月4日(水)〜1月31日(火) 9時〜17時
(平日のみの開催となります。)
• 場所京都信用金庫 本店ロビー
• 作品提供 成安造形大学
• 作品数13点

2023年『卓上カレンダー』のご紹介
 当金庫は2014年より地元芸術系5大学と連携し、提供いただいた原画をもとに卓上カレンダーを制作しています。2023年は成安造形大学の日本画を専攻する学生の皆様から作品を提供していただきました。日本画ならではの繊細な色づかいをお楽しみいただけたら幸いです。

四季の水景
 2023年は「四季の水景」をテーマに、成安造形大学日本画コースの学生が制作を担当しました。
 近畿の水源である琵琶湖から流れる水は、京都市内の様々な庭園や河川を潤し、宇治川、淀川へと繋がり大阪湾に注ぎます。それらの水辺は、古くから人々の暮らしや歴史・文化にとって重要な役割を担ってきました。
 今回は、京都・滋賀・大阪の水辺の風景を、周辺の歴史的建造物や四季の自然と共に描いています。水は環境によって様々な表情を見せ、また表現者によっても個性の違いが現れやすい題材です。13名の若い感性によって描かれた「四季の水景」を、是非お楽しみください。

成安造形大学 芸術学部 芸術学科 美術領域 准教授 田 学

表紙 「薄曇り」仁和寺 宸殿北庭

 京都・仁和寺の御所庭園の一つである、宸殿北庭を描きました。御所庭園は令和3年に『仁和寺御所庭園』として国指定名勝となっています。現地でのスケッチで感じた、落ち着きのある穏やかな空気感を意識して制作に取り組みました。池泉の水面に映る植物と薄雲の、白みがかった淡い色彩から、春先の朧げな印象を感じ取っていただけたらと思います。
(美術領域日本画コース 3年 水間 美花)

2023年『卓上カレンダー』


1月 「始まりを照らして」平安神宮東神苑

 平安神宮東神苑の栖鳳池を東西にまたぐ泰平閣を描きました。東神苑では琵琶湖疏水からの豊かな水が流れこむ栖鳳池と、東山連山の一つである華頂山を借景とした雄大な泰平閣を望むことができます。降り積もった雪を優しく解かすように照らす初日の出をイメージし、新たな一年への希望や予感、決意という想いを託しました。このカレンダーを手に取った方が、健康で豊かな一年を送ることができますように。
(美術領域日本画コース 研究生 野一色 優美)

2023年『卓上カレンダー』


2月 「寒風」元離宮二条城

 二条城に取材で訪れた際、広いお濠の水面を吹き渡る冷たい風が印象的でした。水辺を画面の中心に配置し、お濠の上を風が吹き抜けるような構図になるよう意識しました。そして、寒さをより感じていただけるように全体的に彩度を低くしています。二条城の陽の当たる部分には、白さを加え陽光を強調して表現しています。
(美術領域日本画コース 3年 南原 稚奈)

2023年『卓上カレンダー』


3月 「春風」万博公園 庭園

 万博記念公園には、日本万国博覧会終了後、自然の森を再生すべく様々な樹木や草花が植えられました。四季折々の変化を見せる植物や水の流れは、日本の里山や森、平野を感じさせます。取材の際に印象的だった、豊かな自然に囲まれた水面の反射や輝きを表現するため、使用する絵具の彩度の高さを意識しました。春の訪れを感じられるような爽やかさ、空気の澄んだ情景を楽しんでいただければと思います。
(美術領域日本画コース 3年 大澤 末歩)

2023年『卓上カレンダー』


4月 「春の陽」琵琶湖疏水(大津)

 大津市の桜の名所である琵琶湖疏水の景色を描きました。春の暖かく心地の良い空気が伝わるように、光や色から感じる温度を意識して表現しました。光の当たっている場所の暖色と影の寒色、全体の暖かい空気と下を流れる川の爽やかさのバランスも意識しています。咲き誇る桜の柔らかくふんわりとした印象と、ぽかぽかとした陽光を感じていただきたいです。
(美術領域日本画コース 3年 今田 有咲)

2023年『卓上カレンダー』


5月 「新緑」神泉苑 法成就池

 桓武天皇の苑池として造営された神泉苑は、二条城のすぐそばに位置します。きらめく水面に鳥たちが羽を休める静かなこの場所には、時間がゆっくりと過ぎているような感覚がありました。ちょうどツツジが咲く季節でしたので、水のきらめきや花が生き生きと咲いている様子など、実際に神泉苑で受けた印象を絵に表せるように意識して描きました。是非その情景を楽しんでいただけたらと思います。
(美術領域日本画コース 3年 寺居 遥加)

2023年『卓上カレンダー』


6月 「涼雨」高瀬川 一之船入

 高瀬川の一之船入は、荷物を上げ下ろしする船溜所として江戸時代に造られました。取材時、梅雨の雨雲の間からわずかに差し込む陽の光が、水面と高瀬舟を美しく照らしていました。その一瞬の感動を作品に留めようと、全体に寒色系の色彩で薄暗い雰囲気を表現し、陽があたった場所には暖色系の色彩をアクセントとして使っています。高瀬川の水の清らかさと、その周辺に漂う静かで落ち着いた空気を作品から感じていただければ幸いです。
(美術領域日本画コース 3年 永野 朋花)

2023年『卓上カレンダー』


7月 「盛夏」濠川の酒蔵

 太閤秀吉による伏見城築城とともに大きく栄えた安土桃山時代の伏見では、水が豊かであったことから、酒づくりの伝統が花開きました。江戸時代、「伏見」の地名は「伏水」と書かれ、その豊かな環境を象徴しています。酒蔵や十石船が浮かぶ川沿いを散策した時に見た、夏の強い日差しを受けてキラキラと反射する水辺と、美しく連なる酒蔵の建物から感じた穏やかな時間を表現しました。
(美術領域日本画コース 4年 新美 和季)

2023年『卓上カレンダー』


8月 「夏川」淀川河川公園 枚方大橋

 淀川は青く緩やかに流れ、芝生が青々と茂る。そうした爽やかな夏の風景とは裏腹に8月の太陽が蒸し暑く照りつける。そんな現場で感じた相反する二つの印象を一つにしようと、下地には朱色を全面に塗り、青と緑の爽快な画面でありつつも沸き上がるような暑さを表現しました。写生場所が公園でしたので、絵本のような可愛らしいタッチで仕上げました。
(美術領域日本画コース 3年 安永 時名)

2023年『卓上カレンダー』


9月 「秋彼岸」宇治川 喜撰橋

 秋の夕暮れの宇治川と喜撰橋を描きました。9月はまだ日差しが眩しいですが、少しずつ日没が早くなり、夕暮れには爽やかな秋の風を感じられます。秋は私の好きな季節です。秋の風は夏の終わりを感じ寂しい気持ちになりますが、喜撰橋の対岸に望む紅葉が華やかに季節の変わり目を演出してくれます。宇治川の水面に紅葉が映り、落葉が流れ、季節が移り変わって行く。そんな秋の風景を感じさせてくれます。
(美術領域日本画コース 3年 白木 雅)

2023年『卓上カレンダー』


10月 「秋晴れ」大覚寺 大沢池

 大沢池は大覚寺の東に位置する日本最古の人工の林泉です。この作品では、空気が澄み晴れ渡った空と色鮮やかな紅葉が、水面に映る様子を描いています。清々しい秋晴れの空と、荘厳な建築物の雰囲気との対比を、画面上で分離し過ぎることがないよう彩色しました。また、水面に映ると、その対比が緩やかになり、空と自然が溶け合った雰囲気が水面から感じられるよう表現しました。
(美術領域日本画コース 3年 千光士 陽菜)

2023年『卓上カレンダー』


11月 「仲冬」下鴨神社 御手洗社

 秋と冬の間の少し物寂しい雰囲気の御手洗社をイメージして描きました。実際の御手洗社も神社の奥地にひっそりとあり、寂しさを感じさせつつ荘厳な出立ちであるため、その絶妙なバランスも意識して配色の彩度を少し低く表現しています。また、背後にある樹木の空気の抜け感も、建物とのコントラストが出るように工夫しました。この季節に漂う独特の雰囲気を感じていただければ幸いです。
(美術領域日本画コース 3年 多久 愛美)

2023年『卓上カレンダー』


12月 「暮雪」海門山満月寺 浮御堂

 近江八景「堅田の落雁」で知られる浮御堂は、その名前の通りまるで琵琶湖に浮かんでいるかのように建てられています。創建当初の美しさを保った浮御堂は落ち着いた雰囲気を感じますが、雪の降る日は一層美しく湖上に浮かび上がります。その時々で微妙に表情を変える琵琶湖と、建物の荘厳な空気感が出るように画面全体を落ち着いた色調に整えました。
(美術領域日本画コース 3年 平井 七海)

2023年『卓上カレンダー』


≪京都信用金庫の卓上カレンダー≫
  当金庫は、5つの地元芸術大学(京都市立芸術大学・京都精華大学・京都芸術大学・嵯峨美術大学・成安造形大学)の学生の皆様のご協力により、毎年卓上カレンダーを制作しています。