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『卓上カレンダー原画展』のご案内

• 日時2022年1月4日(火)〜1月31日(月) 9時〜17時
(平日のみの開催となります。)
• 場所京都信用金庫 本店ロビー
• 作品提供 嵯峨美術大学
• 作品数13点

2022年『卓上カレンダー』のご紹介
 当金庫は2014年より地元芸術系5大学と連携し、提供いただいた原画をもとに卓上カレンダーを制作しています。2022年は嵯峨美術大学の日本画・古画を専攻する学生の皆様から作品を提供していただきました。日本画ならではの繊細な色づかいをお楽しみいただけたら幸いです。

四季を感じさせる地域の色彩
 2022年は「四季を感じさせる地域の色彩」をテーマに、嵯峨美術大学の日本画・古画を専攻する学生が中心となって制作を担当しました。京都、滋賀、大阪の地域性を踏まえた四季折々の風景を、岩絵具など伝統的な日本画の画材と技法を用いて丁寧に描きました。
 また今回は、それぞれの風景に描かれた特徴的な「色彩」を一つ抽出し、風景と色彩の関係について学生の見地から考察しています。歴史、文化、催事、風俗・風習などをモチーフに特徴的に表現された「色彩」にもご注目ください。

嵯峨美術大学 芸術学部 造形学科 日本画・古画領域 専任講師 北島 文人

表紙 「京都の町並みを眺める」京都・将軍塚(色:浅葱色(あさぎいろ))

 京都の町並みを俯瞰して描きたいと思い、将軍塚から眺める冬の景色を描きました。特にこだわったのは、冬の空らしい冴え冴えとした雰囲気を、浅葱色を使用して表現した点です。また建物を簡略化しすぎて無機質な描写にならないように気をつけ、人々の生活や息遣いさえも感じられるような賑やかな京都の町並みをイメージして描きました。冬の山の姿は朽葉や緑青、藤紫の色を塗り重ねて丁寧に表現しました。
(芸術学部 造形学科 日本画・古画領域 4年 平井 実愛)

2022年『卓上カレンダー』


1月 「餅花」京都・祇園(色:薄紅色(うすべにいろ))

 京都のお正月飾りの一つである餅花は柳などの枝に紅白の餅を付け、神棚や玄関、座敷の柱などに飾ります。花のつぼみのようなお餅を付けた枝が華やかに揺れる様子がとても美しく、新春の風情が感じられる京都のお正月の風景としてとても気に入っています。餅や団子を丸めたものは、稲穂に似せて作られた五穀豊穣を祈る飾り物とされており、華やかさを表現するために金泥を使い絵具の鮮やかさも意識して彩色しました。
(大学院 芸術研究科 芸術専攻 造形絵画分野 2年 田尾 桜)

2022年『卓上カレンダー』


2月 「蝋梅」大津・石山寺(色:黄蘗色(きはだいろ))

 滋賀県大津市にある石山寺では2月にかけて、蝋梅(ろうばい)の花が見頃を迎えます。外に出るのが億劫になりがちですが、寒い中でもこうして咲き誇る姿を見ると、とても清々しい気分になります。真っ青な空、歴史ある建造物、そして小ぶりながらも華やかな蝋梅の組み合わせは、この季節この場所でしか見られない特別な景色です。花のやさしさを意識しつつ、その一瞬の美しさを描き留めました。
(芸術学部 造形学科 日本画・古画領域 4年 福地 紗英)

2022年『卓上カレンダー』


3月 「はねず踊り」京都・隨心院(色:朱華色(はねずいろ))

 はねずとは薄い紅色をさします。朱華色の段絞りの小袖姿の少女たちが舞う、華やかな祭事をテーマにしました。小野小町の伝説にちなんだこの踊りは、見ているこちらまで穏やかな気持ちになります。同系色をたくさん使っていますが、モチーフの画面全体の中で少しずつ異なる色彩になるよう工夫して描きました。作品をとおして、厳かな和の楽器の音色と春のあたたかな空気を感じていただければ幸いです。
(芸術学部 造形学科 日本画・古画領域 4年 稲田 ゆきの)

2022年『卓上カレンダー』


4月 「桜」寝屋川・友呂岐緑地(色:桜色(さくらいろ))

 春は、さまざまな終わりと始まりを迎える季節です。そんな期待と不安が入り混じった心情の中、ふと街を見渡すと一面に桜が咲き誇り、あたたかい気持ちになります。小川に流れる花びらはそれぞれの目標に向かって旅立つ人々のように感じます。そんな春の季節を感じていただきたいという想いと、この先訪れる苦難にも負けないようにとの祈りを込めて描きました。
(芸術学部 造形学科 日本画・古画領域 4年 加野 未侑)

2022年『卓上カレンダー』


5月 「箕面滝」箕面・箕面公園(色:萌黄色(もえぎいろ))

 大阪府箕面市にある箕面滝は、駅から少し歩いた所にあります。都会の中で自然を感じられる場所なので皆さんに知ってもらいたいと思いこの風景をモチーフに選びました。暑さの増す5月の終わり、たどり着いた滝の周辺はとても涼しく、新緑が綺麗で視覚的にも体感的にも爽やかです。萌え出る若葉のような冴えた萌黄色で表現し、立夏の雰囲気を感じていただける作品に仕上げました。
(芸術学部 造形学科 日本画・古画領域 3年 梅原 葵)

2022年『卓上カレンダー』


6月 「水無月」京都発祥の伝統和菓子(色:小豆色(あずきいろ))

 京都発祥の和菓子、水無月を描きました。小豆色には厄除けの意味があり、京都では夏越の祓が行われる6月30日に残り半年の無病息災を願って食べる風習があります。この風習に夏を乗り越えようとする人々の考えや営みを感じ、感染症に見舞われた今の社会情勢とも通じる思いを抱いたため、水無月をモチーフに選びました。瑞々しい小豆に見えるように筆のタッチを残さず滲みやぼかしの技法で描きました。
(芸術学部 造形学科 日本画・古画領域 3年 伊藤 綾)

2022年『卓上カレンダー』


7月 「祇園祭」京都・祇園(色:黄蘗色(きはだいろ))

 日本三大祭の一つであり、千年以上の歴史を持つ祇園祭(宵山)を描きました。祇園祭は、平安時代に京都で流行した疫病退散を祈願したのが始まりといわれており、京都の夏の風物詩ともいえるお祭りです。提灯の灯りが幻想的に浮かんで見えるように、ふんわりとした光を意識して描きました。夜のお祭りの風情を楽しんでいただけたらと思います。
(芸術学部 造形学科 日本画・古画領域 4年 大西 佑奈)

2022年『卓上カレンダー』


8月 「ビワコオオナマズ」滋賀・琵琶湖(色:墨色(すみいろ))

 ビワコオオナマズは淡水魚の一種で日本三大怪魚の一つとされており、日本のナマズの中でも最大級の大きさに成長します。幼い頃からよく琵琶湖博物館で見ていたビワコオオナマズが印象に残っており、日本画のモチーフとしても古くから描かれているため今回のモチーフに選びました。薄暗闇の中にひっそりと佇み、こちらを伺う様子は、琵琶湖の守り神らしい貫禄と荘厳さを感じさせてくれます。
(大学院 芸術研究科 芸術専攻 造形絵画分野 2年 田尾 桜)

2022年『卓上カレンダー』


9月 「観月の夕べ」京都・大覚寺(色:真朱色(しんしゅいろ))

 中秋の名月に大覚寺で開催される観月の夕べの様子を描きました。このお祭は、池に龍頭(りゅうとう)鷁首(げきしゅ)の舟を浮かべ水面に映る月を楽しむというもので、平安貴族の文化を感じられる京都の催しです。舟の色彩が印象的だと感じたので、その色が活きるように他の色味を抑えて表現しました。また、やわらかく光る月のやさしそうな姿を描くため、岩絵具の雲母を使って丁寧に描きました。。
(芸術学部 造形学科 日本画・古画領域 3年 伊藤 綾)

2022年『卓上カレンダー』


10月 「五色豆」京菓子(色:黄丹色(おうにいろ))

 10月13日は豆の日です。京名物の豆菓子である五色豆は、ほっと一息つく穏やかな時間と気候を感じられると思い描きました。自然そのままを見て季節を感じることはもちろんありますが、京都にはその季節を象徴する食べ物を愛でて、季節を楽しむ趣深さがあります。その風流さとともに、紅葉の色と五色豆の黄丹色から、秋の趣をお楽しみください。
(芸術学部 造形学科 日本画・古画領域 3年 澤田 茉紀)

2022年『卓上カレンダー』


11月 「神護寺」京都・高雄山(色:真朱色(しんしゅいろ))

 黒味の濃い赤色を真朱といいます。今回の作品では、紅葉に真朱色を用いました。神護寺の門前まで行くには急な階段と坂道を上らなければなりません。そこを上りきり振り返ると、紅葉で赤一色に染まった風景が見渡せます。道中にはお食事処があり、食の秋も堪能できます。今回神護寺を選んだ理由は、小さい頃から紅葉の時期によく訪れていた場所で思い入れがあり、絵に描いて残しておきたい風景だと思ったからです。
(大学院 芸術研究科 芸術専攻 造形絵画分野 1年 川手 雅子)

2022年『卓上カレンダー』


12月 「京都・嵐山花灯路」京都・嵐山(色:朱色(しゅいろ))

 京都・嵐山花灯路は、地元の人はもちろん、地方から訪れた方や、世界中の観光客にとってもあたたかさを感じられる京都の風物詩です。初めてこの行事を見た時の印象が今も記憶に残っており、今回のモチーフにすることを決めました。一つひとつの和紙に淡い色が散りばめられ、寒空の下ほのかに灯る花灯路は、あたたかな印象を与えてくれます。暗闇に灯す明かりの美しさを表現しました。
(芸術学部 造形学科 日本画・古画領域 4年 稲田 ゆきの)

2022年『卓上カレンダー』


≪京都信用金庫の卓上カレンダー≫
  当金庫は、5つの地元芸術大学(京都市立芸術大学・京都精華大学・京都芸術大学・嵯峨美術大学・成安造形大学)の学生の皆様のご協力により、毎年卓上カレンダーを制作しています。